就労資格をもつ外国人の転職

転職 / Job Change

「技術・人文知識・国際業務」「技能」などの就労資格にて日本に在留が許可された外国人も、転職することはできます。

現在の会社を退職するのであれば、転職先を探すか帰国するか決めましょう。

退職後の注意点

届出義務

就労の外国人が退職したときは、14日以内に入国管理局に「契約機関等に関する届出」を届出しなければなりません。

Visa Support
Visa Support

届出をしておかないと、20万円以下の罰金や、次回のビザ更新の際に不利益になる可能性があります。14日以内にできなくても、必ず届けることが大切です。

この手続きは、退職時と転職時の両方で必要となります。転職先が決まっている場合は、同時に届出をすることができます。

3ヵ月以上の無職期間を作らない

就労資格で在留する外国人は、退職後3か月以上、再就職や就職活動がなければ、「活動の実態がない」状態となり、在留資格の取消の対象となります。転職予定があるなら、すぐに入社しましょう。

休職中のアルバイトは不可

自己都合ではなく、会社都合の退職の場合は、資格外活動許可を申請することで、アルバイトが認められるケースもあります。

税金・健康保険・年金を支払う

今まで、前の会社が税金や健康保険料・年金を支払ってくれていた(給与から天引きされていた)と思いますが、転職期間が空いた場合は、自分で必ず支払いましょう。遅れがあると、永住申請や帰化申請の際に不利となります。

職務変更なし

まず、転職前と転職先の職務に変更はなく、既存の在留資格の範囲内ということがはっきりした場合の手続きについてご説明します。

例1)ホテルで通訳業務とマーケティング(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)⇒
レストランで通訳業務(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)

例2)会社Aでシステムエンジニア(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)⇒
会社Bで翻訳業務(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)
*専門学校卒の場合は不可

Step1 在留資格や在留期間などを確認

採用する外国人の業務内容を決める際に、外国人に在留カードの提示を求めて、在留資格の確認をします。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格なのであれば、その職務内容に該当するのか、在留期間はいつまでなのかなどを確認します。

退職日の確認も忘れずに。退職してから、3ヵ月以上経過している場合、在留資格の取消事由に当たるため、次の更新で不許可になる可能性が高くなります。

Step2 雇用契約書を締結する

仕事内容や労働時間、給与などの労働条件についてよく説明し、書面で雇用契約書を締結することが、労働基準法で義務化されています。

尚、雇用契約書は、外国人が十分理解できる言語で作成した方が、後々のトラブル防止になるでしょう。

Step3 所属機関等に関する届出をおこなう(外国人本人)

転職する外国人本人は、新たな契約の締結があった14日以内に「所属機関等に関する届出」を地方出入国在留管理局へ提出する必要があります。この手続き中に転職先で勤務を始めていても問題ありません。

届出期間

契約の変更等が生じた日から14日以内

届出者

外国人本人

各種届出書

届出書参考様式

届出方法

①インターネット

②最寄りの地方出入国在留管理局の窓口に提出

③郵送

届出をしておかないと、20万円以下の罰金や、次回のビザ更新や永住申請の際に不利益になる可能性があります。14日以内にできなくても、必ず届けることが大切です。

Step4 必要であれば、在留期間更新許可申請をおこなう

原則として、転職後の職務内容が、今持っている在留資格で許可されている活動範囲内である場合は、何の申請も必要ありません。

ただし、在留期間の3ヵ月程度前であれば、在留期間更新許可申請を行います。所属機関が変更していることになるので、ただの更新ではありません。本人の転職理由書のほか、転職前の会社が発行した源泉徴収票や退職証明書、転職後会社のの法定調書合計表や決算書、雇用契約書、登記簿謄本、決算書なども必要となります。

Step5 できれば「就労資格証明書交付申請」をおこなう

原則として、転職後の職務内容が、今持っている在留資格で許可されている活動範囲内である場合は、「在留資格の変更」もおこなう必要はありません。

ただ、今ある在留資格の範囲内なのかどうか不安な場合は、「就労資格証明書交付申請」をおこなうことを強くお勧めします。

この申請が認められると、次の就労ビザ更新の際には手続きが簡略化することになりますし、何よりも不法就労ではないという証明になるので、外国人にとっても転職先の会社にとっても安心です。

外国人は、それぞれの在留資格で許可された範囲内で活動しなければなりませんが、そのルールを破ってしまうと、不法就労をした外国人だけでなく、不法就労をさせた事業主も不法就労助長罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金など処罰が課せられることになります。
その外国人が不法就労者であることを知らずに雇用した事業主も処罰の対象になります。在留カードの確認など、必要な確認を怠った責任が問われるためです。
転職前と転職後の職務内容が同じでも、転職先の会社が創業間もなく売上も十分でないような場合、雇用状況が安定的でないとみなされ、次の更新で不許可になることもあります。

職務変更あり

転職前と転職先の職務が違うケースの転職です。手続きの流れは、職務変更なしとほぼ同じですが、在留資格変更が許可された後の入社となります。

例1)私立中学校で語学教師(在留資格「教育」)
⇒英会話スクールの講師(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)

例2)大学への留学生(在留資格「留学」)
⇒会社Aでマーケティング(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)

Step1 在留資格や在留期間などを確認

同上

Step2 雇用契約書を締結する

同上

Step3 わからないときは「就労資格証明書交付申請」をおこなう

職務変更がある場合であっても、現在の在留資格の範囲内で問題ないケースもあります。在留期限満了日までに余裕があって、かつ在留資格で認められている業務内容かどうかわからないような時は、Step4の「在留資格変更許可申請」ではなく、「就労資格証明書交付申請」をおこなってみてもいいかもしれません。

もしも、却下されたのであれば、業務内容が転職前の会社と違う可能性が高いので、Step4の変更許可申請をおこなうことになります。

Step4 在留資格変更許可申請をおこなう

最寄りの地方出入国在留管理局で「在留資格変更許可申請」をおこないます。

許可されるまで、申請から1ヵ月程度かかりますが、それまで転職先の会社で働くことはできません。

・雇用契約の始期までの期間がおおむね3ヵ月以内のときに受理される
・内定通知書等が必要

Step5 所属機関等に関する届出をおこなう(外国人本人)

同上

転職の期間が3ヵ月以上空いてしまう場合

就労資格で在留する外国人は、退職後3か月以上、再就職や就職活動がなければ、「活動の実態がない」状態となり、在留資格の取消の対象となります。3ヵ月以内に再就職できれば、前の在留資格を引き継ぐことができます。

でも、3ヵ月間の間に就職できなかった場合、会社訪問をしているなど具体的な就職活動をしているという実態があれば、就労ビザが取り消しにならないケースもあります。

特定活動ビザに変更許可申請

退職後3ヶ月間の間に再就職できなかった場合で、このまま就職活動を続けたいときは、特定活動ビザに変更許可申請を行います。

資格外活動許可を取得することで、週28時間のアルバイトもできることになります。

失業保険がもらえるケースもある

就労ビザを持つ外国人が雇用保険に加入していた期間が12ヶ月以上あった場合、失業保険の給付を受けることができます。
給付を受けるためには、ハローワークに、退職時にもらう「雇用保険被保険者離職票」をもって手続きします。

もちろん、失業保険の給付を受けるには再就職の意思が必要なため、ハローワークで失業保険給付の手続きと同時に、休職のための登録も行います。

失業期間中にビザの満了日が来ると、在留資格が失われて一時帰国しなければいけなくなるため、失業保険の給付も打ち切られます。
「短期滞在」や「特定活動」ビザへの切り替えて、就職活動を続けましょう。

はやい・やすい・ていねいな当オフィス

外国人本人が複雑な申請を行うことで、更新や変更申請が不許可となる例が後を絶ちませ

更新や変更の手続きは、ビザサポート高田馬場にお任せください。(30分の無料相談あり)

 
(所属機関等に関する届出)
第十九条の十六 中長期在留者であつて、次の各号に掲げる在留資格をもつて本邦に在留する者は、当該各号に掲げる在留資格の区分に応じ、当該各号に定める事由が生じたときは、当該事由が生じた日から十四日以内に、法務省令で定める手続により、出入国在留管理庁長官に対し、その旨及び法務省令で定める事項を届け出なければならない。
一 教授、高度専門職(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号ハ又は第二号(同号ハに掲げる活動に従事する場合に限る。)に係るものに限る。)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学又は研修 当該在留資格に応じてそれぞれ別表第一の下欄に掲げる活動を行う本邦の公私の機関の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関からの離脱若しくは移籍
二 高度専門職(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第一号イ若しくはロ又は第二号(同号イ又はロに掲げる活動に従事する場合に限る。)に係るものに限る。)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(本邦の公私の機関との契約に基づいて当該在留資格に係る活動に従事する場合に限る。)、技能又は特定技能 契約の相手方である本邦の公私の機関(高度専門職の在留資格(同表の高度専門職の項の下欄第一号イに係るものに限る。)にあつては、法務大臣が指定する本邦の公私の機関)の名称若しくは所在地の変更若しくはその消滅又は当該機関との契約の終了若しくは新たな契約の締結
三 家族滞在(配偶者として行う日常的な活動を行うことができる者に係るものに限る。)、日本人の配偶者等(日本人の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)又は永住者の配偶者等(永住者の在留資格をもつて在留する者又は特別永住者(以下「永住者等」という。)の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。) 配偶者との離婚又は死別
(所属機関による届出)
第十九条の十七 別表第一の在留資格をもつて在留する中長期在留者が受け入れられている本邦の公私の機関その他の法務省令で定める機関(次条第一項に規定する特定技能所属機関及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二十八条第一項の規定による届出をしなければならない事業主を除く。)は、法務省令で定めるところにより、出入国在留管理庁長官に対し、当該中長期在留者の受入れの開始及び終了その他の受入れの状況に関する事項を届け出るよう努めなければならない。

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